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データドリブンビジネスに必要とされる拡張分析(Augmented Analytics)


現代において必要とされる、データドリブンによる意思決定


通常企業における経営の意思決定は、業界の専門家からのアドバイスや、その用務での長年の経験や知識をベースに行われることが多くありますが、情報化が発展した現在においてその方法は非常に多岐にわたります。

20年以上前から、ITシステムのオープン化などの発展により、経営の意思決定支援システム(DSS:Decsision Support System)はあらゆる形に変化しています。単なる集計、帳票,

グラフによる支援から、現在ではBI、統計解析、機械学習、深層学習などによる支援に及びます。

あらゆる業務がデジタル化されている現代において、購買履歴やアクセスログといった個々の顧客行動だけでなく、世の中全体の意見や動向なども、SNSをはじめとしたオープンな情報として莫大な量が蓄積されています。

このような背景から、従来のような大きな意思決定(買収、戦略決定や投資など)ではもちろんのこと、日々現場で行われる小さな意思決定(日々のメール配信や製品の利益性、アンケート分析、従業員の調査など)においても、これらのデータを活用することは重要性を増しつつあります。

今回のコラムでは、この意思決定方法に関する「データ分析」について、その潮流を詳しく解説していきます。

目次[非表示]

  1. 1.データを活用した意思決定の方法
  2. 2.欠点を克服する手法とその進化
  3. 3.データ分析を行う担当者のスキルと役割​​​​​​​
    1. 3.1.①データサイエンティスト
    2. 3.2.②シチズンデータサイエンティスト
    3. 3.3.③インフォメーションアナリスト
  4. 4.新たな分析である拡張分析(Augmented Analytics)の登場


データを活用した意思決定の方法

データ活用した意思決定は、思い込みではなく、事実に基づいた信頼できる意思決定行うという最大の目標です。特に臨床統計のようにに係わる場合には、データ収集の方法正確性統計的な妥当性が非常重視されるため、国による規制統制も強くなります。一方、スピードが重視される場合には、よりシンプルな集計をベースにした意思決定が行われます。分析手法においてメジャーな、クロス集計、RFM分析について見ていきましょう。

クロス集計やRFM分析は、シンプルで分かりやすいため、多くの企業の意思決定に使われています。通常社内に蓄積をされた履歴データなどをベースに、分析担当者が決めた視点、もしくは2~3つ程度の要因を組み合わせた表にて分析します。

シンプルである一方で、欠点もあります。シンプルさゆえに、実際のデータの持つ複雑性を表現しきれないのです。また、人の持つ経験からの仮説に基づいた要因が選択されるため、その項目における集計結果が統計的に本当に意味があるのか、そして出た結果がたまたまよくある誤差程度のものなのか、といった部分の判断が難しくなります。


欠点を克服する手法とその進化

これらを克服するために、分析結果が統計的に有意かどうかなどを判断する統計解析手法があります。分析担当者が立てた仮説に対し、データ分析の結果、それが「棄却できるかどうか?」を判断するものです。たとえば、「新薬の効果がある」ということを証明するために、逆に「”この新薬の効果が無い”という仮説を統計的に棄却できるかどうか」を判断するという、普通の人にはわかりにくいステップを踏むのです。

また、近年の技術では、機械学習・深層学習のテクノロジーを使い、仮説そのものの発見から意思決定までを自動化してしまうところまで来ています。これは、企業内のデータやアクセスログやメール配信などのデジタル施策の結果のデータ、さらにSNSなどへの投稿データ、画像データなどをもとに行われます。


データ分析を行う担当者のスキルと役割​​​​​​​

上記のような様々な意思決定を行うには、医薬統計のような場合にはかなり専門的な知識を有している必要があり、統計学だけでなく医療・医薬に関しても専門的な知識が必要となります。しかしながら、営業、マーケティングの施策実行者は学問としてはそれほど統計学・数学を学んでいるわけではなく、莫大な量のデータから意思決定を行うためのアルゴリズムの開発を行う事は困難になります。データ分析を行う担当者を3つに分類して解説します。

①データサイエンティスト

”データサイエンティスト” と呼ばれる、データ・統計・コンピュータの3つに関する知識を持った役割の人材が、デジタル化が進んだ現代においては非常に重要になりました。ただ、データサイエンティストの人口は、その需要に対して圧倒的に少ない状態です。知識のみならず、きちんとした経験とビジネスセンスまでを兼ね備えた人材を確保することは、さらに困難を極めます。

②シチズンデータサイエンティスト

データサイエンティストの枯渇している中、統計、数学、アルゴリズムの専門家でなくても、データのハンドリングや予測モデル構築が自動化された機械学習ツール・ソフトウェアを活用し、大量の分析をこなす”シチズンデータサイエンティスト”が登場しています。マーケティング施策のための予測モデルや、意思決定のための仮説の発見、クラスタリング・グラフ理論を活用したデータ(顧客、商品、店舗等)のセグメンテーションなどの分析を大量に行います。このシチズンデータサイエンティストが、データの民主化と呼ばれる流れの中心となります。

上記のデータサイエンティストや、シチズンデータサイエンティストは、社内でも数人程度のチームであることがほとんどです。数か月間にわたるアルゴリズムの開発、月単位での予測モデルの実行など、プロジェクトはある程度計画的に行われ、データベースやソフトウェアに関連するコストが投入され比較的潤沢なリソースが与えられます。このような役職についている人数は企業内でも1~3%もいないと想定されています。

③インフォメーションアナリスト

日々の業務の大きな意思決定をしているのは、残り9割以上を占める“インフォメーションアナリスト” といわれる人材です。Excelや集計表、SFA、MAなどの各種のシステムのレポート画面を見て、日々の意思決定をしています。

彼らは、様々なシステムから抽出された “Small Data“ と呼ばれる企業内で生成される多くのデータを使って、小さいながらも各業務では重要な意思決定を大量に行っています。

彼らは専門的な統計の知識もないなかで、ほぼ毎日、短時間で簡単な分析に基づいて(または、分析もせずに)意思決定をしていく必要があります。”Small Data” を用いた日々の多量の意思決定のための分析は、非常に多忙で貴重なリソースであるデータサイエンティストは事実上行うことができません。

以上のような状況において、社員の9割以上を占めるインフォメーションアナリストの日々の意思決定の効率化は、企業を正しい方向性へ、そして収益を良い方向へと導きます。

そこで近年注目を浴びているのが、人の知見・判断力をAI/機械学習を活用して拡張し、データからの意思決定をサポートする「拡張分析(Augmented Analytics)」です。

次の章ではこの「拡張分析(Augmented Analytics)」について解説していきます。


新たな分析である拡張分析(Augmented Analytics)の登場

この新たな分析手法である拡張分析(Augmented Analytics)は、今までのBIに対する、AIによる機能の拡張としてとらえられます。多くのモダンBIやビジュアルアナリティクスなどでは、定点観測、データ階層でのドリルダウンなどが有効ですが、項目が数重になった際に、そこからの要因解析には多くの試行錯誤が発生してしまいます。

データから新たなルール、パターン、要因を見つけることについては、やはり人の視点や経験に依存してしまうため、有効なルールが見つかるまで、様々な軸を設定した散布図やクロス集計表を作る必要があります。一見ちょっとした差が、統計的に本当に意味があるかどうか判断することは難しいのです。

一方、拡張分析(Augmented Analytics)は、機械学習のアルゴリズムが内蔵されているため、ある項目(例えば、売上や退職など)と他の項目との関係性を先に見つけ、それをビジュアルで表示をすることが容易です。拡張分析では、人が試行錯誤でいくつかのルールを見つけている間に、項目同士の関係性と値の分布から有効なパターンを多数見つけ、分析の担当者に提示をしていきます。今までよりもずっと早く、今まで気が付かなかったルールを発見でき、また要因を理解しながら分析をしていくことができるのです。



また、アルゴリズムに基づいて予測確率だけが出てくる機械学習ツールとは違い、BIと連動することで、発見したルール・パターンを視覚的、もしくは自然言語に基づいて提示することができます。このため、一般的なスキルのユーザーでも、機械学習や統計的な処理の結果に関する解釈や理解を得られるのです。

上記のようなことから、拡張分析(Augmented Analytics)は人の “気づき” や “理解” の能力を拡張し、よりよい意思決定を支援していくことができる新しいタイプの分析手法として、近年注目を浴びています。

ブレインパッドではこのような新しいタイプの拡張分析(Augmented Analytics)の拡大とユーザー様への導入のための支援を今後も展開し、よりよい意思決定のための支援を行っていきます。